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レースと山登り、最初の頃は自分の中でも切り替えが大変だったんです。今はもうすっかり慣れちゃって、すぐにどちらだってもう普通にやっていればできます。レースだって山登りだって全部いっしょなんですよ、自分の中では。
あなたは一体何屋なのってよく言われて、“いやぁ自転車屋なんですよ”って言ったりしてますけど……。でも、本当の職業は?と訊かれたら、やっぱりそれはレーシングドライバー。自分の子供の学費とかノート、鉛筆代はハンドルで稼いでいますね(笑)。F1を降りてからもいくつになっても挑戦は必要だと思ったから、山はライフワークにしようと思ってやりだしたんです。
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でも、最近思うのは、やっぱりこれは“エコ”でもなんでもなくて自分の“エゴ”だなあと。趣味に切り替えたとしても、それはそれで自分の中では大事な位置を占めているんですね。10代で彼女にフラれたとか大学落っこちたとかでコンプレックスを持ち、20代になったらそれをバネにしてF1まで行かせてもらった。その頃の自分にとっての価値観というのは、常にいちばんになることだったり、他人を蹴落としたりすることだったりしたわけです。
30代になってモナコに住んで、年収が何億にもなって、クルマも5、60台持っていて……。でもお金ではないなと思ったんです。セナやシューマッハといっしょに走るようになって、こりゃいちばんにはなれないなあと気がついて、またコンプレックスを持った。そしてF1辞めて、ひとりで世界中を放浪して山に登ったりなんかしていました。
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エベレストの頂上に立って、衛星電話でシューマッハのケータイに“やい!おまえよりオレのほうが立ってるところ高いんだぞ”って言って自慢したいためだけに始めたんだけど(笑)、なんか頂上が見えてきたらそれがゴールじゃない、スタートなんだと思いはじめました。まただんだん価値観が変わってきんですね。
今でも山から下りればコンビニがないとダメな人間だし、ぜんぜん進化しないんですけど。でもそうやって少しずつ自分自身のフィロソフィーがつくられてきているんです。
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